リロケーションの由来
リロケーションとは、英語の「relocation=移転または配置転換」の意味からとった転勤者の留守宅を留守期間限定で賃貸管理する業務形態のことをいいます。
平成12年3月に施行された「定期借家権」により、賃貸借期間限定の契約を結ぶことが法的に可能となり、転勤者の留守宅管理を指す用語として広く使われるようになりました。
リロケーションの歴史
過去には転勤等で留守宅になった自宅は、諦めて売却するか、通常の賃貸にするかしか選択肢がありませんでした。
大手企業の場合には、留守宅を借り上げて他の転勤社員に貸し出すというサービス(通称:借上社宅制度)を社内で行っているところもありました。
または借り手を法人契約限定で貸すという手法も頻繁に使われておりました。
何故かというと契約相手を法人(俗に言う法人契約)にしておけば、入居者に居住権が発生しないため、立ち退き要求がやりやすかったからです。
一部のリロケーション専門会社は、借上制度を持たない法人をターゲットにして法人契約での明渡し保証を付けて転勤者用の社宅を提供するサービスを行ってきました。
この種の会社は企業の人事部と業務提携し、転勤者から自宅管理の代理権を取得して他企業の、もしくは同企業内の転勤者へ社宅として斡旋する事を主たる業務としています。
企業の総務や人事部も明渡し時の原状回復の問題や、種々のクレーム処理から解放され、本来の業務に専念できるため、積極的に外部や系列のリロケーション会社を利用してきました。
しかし、一部の大企業の社員以外は、なかなかこの制度を利用できずにいました。
法律の大幅な見直しが行われました
大正10年に大正デモクラシーを背景に借地人・借家人を保護するために施行された「借地法」は、戦時中の住宅難を反映して昭和16年に大幅な改正が行われ、地主や家主が更新を拒むには「正当事由」を必要とするなど、より一層借地人・借家人の立場が強化されました。
昭和41年にも一部改正され、「借地法」・「借家法」・「建物保護に関する法律」の3本柱で今日まで半世紀に渡り運用されてきました。
これらの法律の基本には、住宅難を背景にした借り手の保護が最優先にされていました。住宅難にあえいでいたこの頃には生活の基盤になる住宅を確保することが、政府にとっても大事な政策だったわけです。
これらの法律のため、いったん貸してしまえば「高額の立ち退き料を払わない限り返してもらうことはできない」とか、「土地を貸すことはただで人にくれてやるような愚かなことだ」と地主は考えるようになり、新規の借地供給がほとんどみられなくなっていました。
また、借家も同様で古くから貸していて家賃が安ければ安いほど、借家人はそこに住み続けるメリットが大きく、そうおいそれとは借家を出るはずもなく、家主が建て替えようと思ってもなかなか願えがかなえられずに、周りの状況にそぐわない古い借家があちこちに取り残されることとなりました。
このため借地ほどではないにしても、一度家を貸してしまえば、そう簡単には立ち退いてもらえないことを家主は覚悟しなければなりませんでした。
法が施行されてから半世紀も経つと、社会情勢や経済情勢も大きく変わり、施行当時の状況とはまったく異なる環境になってきています。 このため法律も現状に則さない部分がかなり出て来ていました。
そこで平成4年8月1日に、約50年ぶりに法の大改正が行われました。
正確に言うと、大改正というより、従来の「借地法」・「借家法」・「建物保護に関する法律」を廃止し、『借地借家法』という新しい法律を制定したわけです。
この新法の大きな特色は、一定期間経過後に借地・借家関係が終了する「定期借地権」「期限付借家権」が新たに創設されたことです。
この制度が創設されたことにより、土地の所有者は一定期間経過後に土地を返してもらえるようになり、安心して土地を他人に貸すことが出来るようになりました。
建物に関しても同じで、いったん人に貸してしまうと、「もう自分たちは住めない!」「明渡してもらうためには多額の立退料が必要」ということが無くなり、やはり安心して自宅を貸せるようになりました。
平成12年3月1日施行の「定期借家権」導入後は、期限付借家制度が定期借家制度に移行しましたので、転勤者はもちろんのこと、普通の大家さんも期限付で建物を貸せるようになりました。
本格的なリロケーションの時代がやってきました
平成4年の大改正以降、なかなか新制度の普及が進みませんでしたが、平成12年3月に「定期借家権」が施行されてからは、リロケーションに目を向ける方々が飛躍的に増えています。
当初あまり利用されなかったのは、みなさんがこの法律の改正自体をあまり知らなかったことと、法律で決まっても「実際にその通りに運用できるのだろうか?」とか「明渡しの際に何らかのトラブルが発生するのではないだろうか?」という、まったく新しい制度に対する不安があったのだと思われます。
平成12年3月1日からは「定期借家権制度」が導入され、日本でもやっと欧米並みの借家制度が本格稼動されることとなり、明け渡しに対する不安は殆どなくなったと言っても過言ではない状況が整いました。
バブル崩壊により、新築マンションをバブル期やバブル崩壊後に購入した方は、転勤の際に自宅を売ろうにも、ローンさえ返せない程に値下がりしており、売るに売れません。
賃貸にしておけば、とりあえずローン返済分ぐらいは賃料収入を得ることができ、転勤から帰任した場合には、また自分の住まいに戻れるようになりました。
つまり不在期間中でも、ほとんど自己負担無く資産を維持できるようになったのです。
正に売るに売れない負の資産に悩む庶民(特に転勤の多い大手企業のサラリーマン)の為に出来た制度といっても過言ではありません。
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